第13章 女神なんかじゃない(逢坂紘夢)
「おはよう! 愛ちゃん」
「おはよう、逢坂くん」
朝、いつものように逢坂くんが迎えに来てくれる。
「昨日は楽しかったね、遊園地」
「うん、えへへ。楽しかったね」
私は観覧車でキスしたことを思い出して、思い出し笑いしちゃう。
朝から相変わらずバカだなー私は。
でももう逢坂くんにもバレちゃってるしいいか。えへへ。
「ねぇ、愛ちゃん。昨日さ、僕のしたいことあったら教えてって言ってくれたよね? 本当?」
「うん、本当! なんでもしてあげるよ。好きだから。逢坂くんのこと!」
私は浮かれて返事する。
あの後、いっぱい2人で話したんだ。
彼の話を聞いて、私の話も聞いてもらって…。
私は逢坂くんの女神じゃなくて、逢坂くんの彼女になったの。
「あの…早速なんだけどさ…」
なんだろう。彼が喜んでくれるなら、私なんでも…。
彼がポケットの中からスマホを取り出す。
「この服を着てもらいたくて。で、サイズなんだけど…。
愛ちゃんは普段Mサイズの服を好んで着ているようだけど、身体のサイズ的にはSサイズのほうがピッタリだと思うんだよね。特にこういう衣装は身体に合ったサイズのほうがいいんじゃないかなって。
だから…Sサイズで注文していいかな?」
スマホの画面にあるのはメイド服。
しかも…なんか普通のじゃなくて、超ミニで胸の谷間を強調したエロい感じの…。
「キモイ。調子のんな。死ね」
私は彼に言い捨てて、スタスタ歩き出す。
「えっ嘘っ。どうしてっ? じゃあMサイズ! Mサイズでいいからぁ」
彼が私を追いかける。
「おっ、朝からケンカか? 仲良いな!」
斗真が私たちに声をかけて抜かしていく。
いつも通りの朝が、ほんのちょっとだけ距離が縮まった私たちの朝が、始まる。
fin