第11章 あったかい(北城猛)
北城くんの家の近くのコンビニでシュークリームを2つ買う。
そして、北城くんの携帯に電話。
「愛だよ。今から家行っていい?」
『ウゼェ。どうせ来るつもりでそこら辺まで来てるクセに』
「うん。じゃあ行くね」
『あ! シュークリーム買って来いよ!』
「もう、買ったもん」
電話を切る。
今日も北城くんは午後の授業をサボって帰っちゃった。
私は放課後一緒に下校してハンバーガーショップでも寄り道したかったのになぁ。
夕方から夜遅くまで、北城くんはバイトいっちゃうから構ってもらうチャンスは今しかない。
私はコンビニ袋の持ち手をキュッと握りしめて、いそいそと北城くん家に向かう。
…
「お邪魔しまーす」
北城くんの部屋に入って、彼に一応挨拶する。
「邪魔するなら来るなよ、ウゼェ」
北城くんが減らず口を叩く。大好き。
「これは、邪魔じゃないでしょ?」
私はシュークリームの入った袋を掲げる。
「おっ、2個も悪いな」
彼が悪戯っぽく笑う。
「違う〜、1個は私の分!」
私は頬を膨らます。
「コーヒーいれてくるね」
「おう」
私は一応断って、北城くんの家の台所でコーヒーをいれる。
勝手知ったる他人の家だもん。