第9章 ずっと一緒だニャ(雨宮久遠)
「今日は遅くなっちゃったから、お母さん機嫌悪いかも。とりあえず隠れてて。ちゃんとタイミング見計らって説得するから安心してね」
「ニャ」
私はカバンの中から頭を出してる久遠に言う。
久遠はサッとカバンの中に隠れる。
…
久遠のこと、猫にして連れて帰ってきちゃった。
だって、わたしだって、ずっとずっと一緒にいたいんだもん。
「ただいまー。ちょっと図書館で調べ物してたら遅くなっちゃった。着替えてくるねー」
お母さんににらまれた。
やっぱ機嫌悪いな。
猫飼うって話は明日以降にしよ…。
「はい。おとなしくしててね」
私は自分の部屋でカバンから久遠を出す。
久遠も黒猫になった。
「ねぇ、なんで黒猫なんだろうね。やっぱ魔法使いには黒猫?
うふ、魔法少女と黒猫のコンビなんてワクワクしちゃうね」
私は制服を脱ぎながら、小声で久遠に語りかける。
久遠は目を細めて頷く。
「あっ、黒ワンピ着よう。
そうだ! ホウキに乗る練習しなきゃ。ホウキに乗る魔法も載ってたかなぁ、あの本。うふふ…」
私は下着姿で黒ワンピを探して、クローゼットを探る。
……。
ハッ!
「わっ、忘れてた。久遠いたんだ! わたし、こんなカッコ…。ね、ちょっとあっち向いてて…キャッ」
久遠が私に飛びついて、首すじをペロペロ舐める。
「きゃー…ちょっとダメッ! 騒いだらバレちゃうよ。やんっ…」
……
fin