第9章 ずっと一緒だニャ(雨宮久遠)
放課後、私はいつものように図書館に行く。
図書館にはいつも雨宮くんが待ってくれてる。
雨宮くんは私の子供のときの友達。
しばらく会えなかったんだけど、高2のとき再会したんだ。
…
「愛! こっちこっち!」
図書館に入ると、雨宮くんが小声だけどテンション高く私を手招きする。
「うん? なになに?」
何か面白い本でも見つけたのかな?
ひと気の少ない書棚の前で、雨宮くんは隠していた本のページを開く。
「見て、これ。人を猫にしちゃう魔法だって。やってみようよ」
彼の目が輝いてる。
くすっ。ホント雨宮くんって子供みたい。
私だって魔法は好きだけど、それは読み物として好きなだけで…本当に信じてたりしないよ?
ま、子供のときは信じてたけどね。
でも、材料とか揃えられないし、呪文が難しくて子供には上手く出来ないと思ってたんだ。
大人になったらきっと出来ると思ってた。
雨宮くんはそのまま大きくなったんだね。
「うん! やってみよう!」
私はテンション高く返事する。
別に信じてるわけじゃないけど、雨宮くんが楽しそうだから付き合ってあげるだけ!