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妄想BF(仮)

第5章 星の王子さま(雨宮久遠)


次の日、私は図書館の扉を開けるときドキドキした。

雨宮くんがいなくなってしまっているような気がして。

……。

でも、ちゃんと彼はいた。

いつもの席で私を待ってくれていた。

次の日も次の日も、彼はいた。

私たちは夏休みの最後を、今まで通り一緒に楽しく過ごした。

……

新学期が始まった。

私は一学期と同じように、放課後、雨宮くんに会いに図書館へ行った。

その日は会えなかった。

まあ一学期も毎日会っていたわけではないし。

でも次の日も会えなかった。

その次の日も。

朝行ってみたり、お昼休みに行ってみたりしたけど会えなかった。

ある日の放課後、図書館のいつもの席に座ろうとしたとき。

そこに一冊のノートが置いてあった。

私が雨宮くんにプレゼントした『星の王子さま』和訳ノート。

私は席に座って、それを読んだ。


『大切なものは目に見えない』


ちょっと泣いた。

ちょっとだけ。


そっか。

私が雨宮くんにプレゼントしたつもりだったけど、本当はこれは雨宮くんから私へのプレゼントだったんだね。


夜になったら空を見上げよう。


星は笑って見えるかな

泣いて見えるかな


わたしは笑って見えると思う。


fin

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