第4章 悪い友達(逢坂紘夢)
放課後、私はちょっとウキウキしてた。
体育の授業の後、着替えてるときちょっと三つ編みほどいたら、友達が
「それ、すっごく可愛い。似合うよ」
って言ってくれて、髪にワックス付けてくれて、ふんわりエアリーウェーブみたいにしてくれた。
今日はちょうど逢坂くんと帰る日だし、逢坂くんも可愛いって言ってくれるかな…。
私は教室で逢坂くんを待ちながらミラーを開いてちょっとチェックする。
うん、可愛い。
そんなことしてると、逢坂くんが私を迎えにやってきた。
「逢坂くん!」
私は逢坂くんに駆け寄る。
「愛ちゃん…」
逢坂くんが私を見てちょっとびっくりした顔してる。
うふ、気づいてくれたかな?
「愛ちゃん、髪どうしたの…? ダメだよ。目立つことしないでっていつも言ってるだろ?」
ちょっと不機嫌そうに彼が言う。
「え…? 髪おろしただけだよ? ワックスは付けたけど」
「だから、そう言うのがダメ。洗面所で縛ってきなよ。待っててあげるから」
「逢坂くんに見せたくてやったのに…」
私は少ししょんぼりする。
彼は優しく微笑む。
「ありがとう。でも…学校だと他の人に見られちゃうから…。家でならいくらでもしてくれていいんだよ?」
「うん…」
ちょっと不満だけど、私は頷いて、トイレに行って髪を縛る。
そして、しまっておいた眼鏡もかけよう。
そのほうが彼は安心だろうし。
洗面所の鏡の中にいつものイケてない私の出来上がり。
せっかくさっきはもうちょっと可愛かったのに。
でもしょうがない。
こんな私をみつけてくれたのは逢坂くんだから。