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妄想BF(仮)

第3章 僕の名前(逢坂紘夢)


次の朝。

僕は落胆していた。

朝、いつも彼女が通る道を、いつも彼女が通る時間に待っていたのに彼女は通らなかった。

偶然を装って、思い切って声をかけようと気合いを入れてきたのに。

昨日が幸せすぎたんだ。これくらいで普通なんだ。

僕は心の中で自分を励ましながら歩く。

E組の教室に向かって歩く。

「逢坂くん!」

E組の教室前から彼女が廊下を走って僕に向かってくる。

「愛ちゃん…」

思わず下の名前でつぶやいてしまった。

「名前…覚えてくれたんだね。僕の名前」

彼女は僕の顔を見てニッコリ微笑む。

「え? 当たり前じゃん。彼氏だよ?」

……。

「逢坂くん、朝来るの意外とギリギリなんだね。わたし早めにきてここで待ってたんだけど」

だから今朝会わなかったのか…。

「いつもはもっと早いんだけど、今朝はコンビニに寄ってて。何か用事だった?」

僕は必死で平静を装いながら答える。

僕に会うために? わざわざ早く来て? というか彼氏? 本当?

頭の中がなかなか整理出来ない。

「うん。昨日話してたゲームのIDメモってきた。ついでにLINEのIDも。ログインする時メッセしてね」

そう言って彼女は僕にメモを渡した。

可愛らしい紙に可愛らしい文字でIDらしきアルファベットと数字が書かれている。

廊下に予鈴の音が響く。

もう少し話したいのに。

「あ、予鈴だ。教室に戻らなきゃ。逢坂くん今日も実行委員会行くでしょ? 今日も一緒に帰ろう?」

彼女が僕に同意を求める。

「うん。もちろんいいよ」

僕は返事する。今日もまた後ろからじゃなくて、隣に並んで帰れるんだね。

「じゃあまた放課後ね」

彼女は笑顔で手を振ってA組の教室に戻っていった。



夢の続き…見ていいんだね?


fin

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