第4章 血縁関係
ーーーーバン!!
大きな音で吉川は現実に引き戻された。
目の前には田中の手がある。
おそらく、手を叩いて音を出したのだろう。
「え、なんだ?」
「お前、大丈夫か?部活に来た時といい、今といい。今日おかしいぞ?」
田中は吉川の顔を覗き込む。
「…………田中」
「ん、なんだ?」
「近い............」
田中ははっと気付き、座り直す。
吉川は田中の問題集に目を落とす。
「田中」
「あん?」
「できてんじゃん。これなら明日のテスト、屁じゃねーなぁ!!」
吉川はがははと笑い、田中の肩を叩く。
「お前....キャラ違う........。つか、いてぇよ!
田中もがははと笑う。
2人の笑い声は部室の外にまで響いている。
*****
翌日の3限目。
お腹が空いてくる頃。
2年1組では生物のテストをしている。
静かな教室に時折聞こえてくるお腹の音。
お腹を押さえて我慢する女子生徒も何人かいる。
吉川はスラスラと問題を解いていく。
田中は頭を抱えて悩んでいる。
(どうしてだ!どうして昨日やったところじゃないところが出る!)
田中の答案用紙はほぼ真っ白だ。
唯一答えている問題は昨日部室でしたとこ飲みだった。
そして、程なくして先生が「やめっ」と言った。
1番後ろの席の人が同じ列の人の答案用紙を集める。
田中の答案用紙も集められる。
未だに頭を抱えている。
(終わった....................)