第3章 the past
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一会が家を空けている時のことだった。
僕が部屋を飛び回っている時。
足音がした。
一会が帰ってきたと思い、僕はいつもの籠に戻る。
ドアが開き、入ってきた。
だが、入ってきたのは一会ではなかった。
知らない人間が2人。
僕は驚き、翼を広げて飛ぶ。
その時見えたのだろう。
3本足に気付くと人間の目付きが変わる。
天井付近にいる僕を捕まえようとする。
あ........
これが人間なんだ
僕は急にゾッとした。
怖いと思った。
そう思った時にはもう窓を目掛けて突っ込んでいた。
バリンと窓ガラスが割れる。
必死に逃げる。
遠くに遠くに逃げる。
気付けば雲の上まで来ていた。
あの場所に帰らなくちゃ
だが、ここがどこなのか、どう来たのかわからない。
必死に探し続けた。
しかし、見付からなかった。
日没頃、見覚えのあるカラスが僕の目の前にいる。
気付けば僕は仲間のヤタガラスに囲まれていた。
「やっと空へ帰って来たか。待ちくたびれたぞ」
僕の目の前のヤタガラスが僕を睨む。
「長(おさ)がお待ちだ」
あぁ...
なんだ、バレているのか
僕はどんな罰を受けるのだろうか
別にいいか、そんなこと
僕は約1ヶ月ぶりに故郷に戻った。