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絶対零度が溶ける時

第1章 出逢い


「…何処かに行くなんて…


関係ないよね?

…アンタに。」





冷静な態度でゆっくり言葉を発したが、
直後片腕をその少年の腹にめり込ませた。


「ガッ!!??」


急な攻撃に対抗できず、少年は倒れる。



「っ!!??」


驚いた他の三人は硬直してしまい、しばらくしたら倒れた少年をおいて一目散に逃げてしまった。




「……。」



少女は何事もなかったかのように倒した少年を見つめ、また歩みを進めた。


「…

…ねえ…」


一人の少年が、少女の足を止めた。


「…。」



__そこで、ようやく二人の目が合う。



「……


どうして…、僕の事を助けてくれたの…?」





一人の少年は少女に問いかけた。




少女は落ちていた服を拾いあげると、一人の少年に投げつける。


そして、一人の少年に向かって答えた。



「…貴方が


助けて欲しくなさそうな目をしていたから…。」





「っ!?…」



思いも寄らぬ解答に驚く。





「…。


それより…

…服。」



一人の少年は上半身だけが裸で、まだ少女から受け取った服を着ていなかった。


「あ、ごめんね。」



少女はそっぽを向いていた。


裸を見るのが気まずかったのだと少年は思ったが、少女の顔は赤らんでいるわけではない。


何か見てはいけない物を見て、ばつが悪い…

そんな表情に近かった。



そこで少年は気づく。



「…この傷の事?」



少年は穏やかに、悲しむわけでなく自分の腹を指した。


「…

いいから…、服着て。」



少女はそっぽを向いている。

少年の傷を見たくない、半ば苛立ったような声色だった。



「…うん。」


素直に一人の少年は上着を着はじめる。



服を着終わった少年は、また少女に問いかけた。



「君の名前…、〝東雲 和紗〟ちゃん…

…だよね?」


ちゃん付けが嫌いなのか、少女は途端に少し嫌な顔をしたがすぐ無表情に戻った。


「…うん。」



素っ気ない返事だが、少年は続ける。



「僕の名前は…わかるかな?

同じクラスだけど…話しはしたこと無かったよね。」


少年は少し寂しそうだった。



「〝雨草 琥珀〟…

…でしょ…?」





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