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髪垂れた未来を(銀魂:沖田夢)

第1章 髪垂れた未来を


やがて見つけた奇麗な布巾を手に取り、沖田はそれを水道水で湿らせ、固く絞った。お盆におしぼりとなった布巾を乗せれば、今度は空のコップを二つ棚から取り出す。一つは空のままお盆に乗せ、もう片方はたっぷりの水を注ぎ入れてお盆に乗せた。

手早く、けれど慎重にそれらを寝室に運んだ沖田は、お盆をベッド横に置いてある小さめのテーブルに置く。己の腰を結衣が横たわるベッドに沈めれば、先ほど絞った布巾を手にした。捻ったままの布を少し広げ、ぐったりとした結衣の顔をそれで拭き始める。

まずは泣き止んだ跡に沿って布を宛てがい、徐々に真っ赤な口元を奇麗にする。唾液と混ざって緩い液体となった血は、思ったよりも簡単に拭き取れた。口元が奇麗になれば、次は折り返した布巾で血だらけの手と腕を拭う。青白い顔をした結衣も、沖田の好意に甘えて静かに目を閉じていた。

肌にこびり付いていた血も全て取れれば、沖田は結衣の背中に腕を回して彼女の上半身を起こした。座り易いよう、クッションを背もたれ代わりに集める事も忘れず、しっかりと結衣をベッドの上で座らせる。

口に水入りのコップを宛てがえば、その水で口をすすぐ事を促した。素直に少量の水を含んだ結衣は、力なくも繰り返し口の中をすすぐ。今度は空のコップを結衣の口に宛てがいながら、沖田は水を吐き捨てるように促した。その作業を幾度か繰り返せば、吐き捨てる水がだんだんと濁りのないものへと変わっていくのが目に見える。

口内をすすぐのはもう良いだろうと判断すれば、コップはすぐにお盆の上に戻された。また楽な姿勢になるよう、沖田は再び結衣の体をベッドに横たわらせる。今度は寒くないように布団の中へ彼女を入れた。
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