第4章 《Free!》惚れたあの子
《三谷美樹side》
駄目だ…。滅茶苦茶意識しまくってしょうがない。
「美樹ー!そろそろ、片付けするよー!」
「あ!はい!」
バイトの先輩に呼ばれ、片付けをするよう言われる。上着を持って出入り口に急ぐ。
「悪い!御子柴!」
「おう!ありがとな!」
「…御子柴!」
「ん?」
「終わるまで待っててもらえるか…?」
「分かった」
勇気を出して今日、ちゃんと答えてみようと思う。
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「ごめん、今終わった!」
「平気!平気!」
二人して前と同じ様に歩いて帰る。
「み、御子柴」
「ん?」
「あの時の答えだけどさ…」
ピタリと立ち止まり、御子柴を見る。今、私の顔は真っ赤になっているだろう。
「私も好きだ!」
これまでにないほど心臓がバクバクしている。試合前でさえ、こんなに五月蝿くないと言うのに。
「三谷」
「?」
名を呼ばれて顔を上げるとギュッと抱き締められた。逞しい腕に大きな胸板。中学の時よりさらに大きくなっていた。
「好きだ…」
「私も」
私も御子柴の背中に手を回す。
「御子柴に告白された後、学校でも別の男子にも告白されたんだ」
「!?こ、断ったよな?」
「当たり前…」
ホッとしたように肩を落とす。御子柴以上に私は御子柴が好きだった。
完ー