第3章 《Free!》サプライズバースディ
「…凛ちゃん」
「ん?」
「…もう一回…キス…して欲しいな…」
照れながらそう口にした。何度キスしても足りないくらい今まで会ってなかった時間が長すぎた。
「んっ…」
今度は優しくキスをした。
一緒にいる時間はなんとも短いものだ。
「あ!そうだ、見て見て、凛ちゃん」
鞄から今度は紙の包み紙を取り出した。漆が慎重に包み紙を開くとなんとも不格好な和菓子が出てきた。
「どうしたんだ?その和菓子」
「お婆ちゃんに習って作ってみたんだけどさ、上手くいかなくて」
笑いながら包み紙を見る。
「せめて凛ちゃんには成果を見てほしくて」
「ふーん…」
しばらく、和菓子を見てからそれをヒョイとつまみ上げ、口に運ぶ。
「あー!それ、私が食べようとしたのに!」
「どうせ、不格好だから自分で食べようしたんだろ?」
「うっ…なんで分かったの?」
「漆だからな」
「なにそれー」
耐えきれずに吹き出す。漆と一緒にいる時間はやっぱり、楽しい。これからも会う時間は少ないかもしれないが、それでも会った時の嬉しさがあるから大丈夫だと思える。
「また、来るからね!凛ちゃん」
「今度は俺が行ってやる」
「楽しみにしてるよっ」
完ー