第1章 《ダイヤのA》バカでも風邪は引く
や、やっと放課後だ…。
今日の授業が全て終了し、くたくたになりながら教室を出て部室へ。今日は朝から体が重く、妙に熱っぽい。それでも気のせいだと思っていたが放課後には悪化していた。
「部活終われば帰れるし、それまで頑張らなきゃ!」
部室に向かう途中、降谷くん、沢村くん、春っち…そして御幸くん。どうやら何か話をしているみたいだ。
「あ!錦城さんだ!!オッス!」
「沢村くん、今日も元気ねー」
沢村くんが先に私に気が付き、声を掛けた。それに釣られるように他の三人も私に振り替える。
「錦城先輩、こんにちは」
「どうも」
「よう、遅かったな?錦城」
「御幸くんが早いんでしょうが」
「はっはっはっ、まあな」
目の前で快活に笑う御幸くんは私の彼氏。不本意にも私が惚れてしまった唯一の男の人だ。
「なんの話してたの?」
「次の試合の話だ」
「成る程、また降谷くんが先に投げるのかな?」
「…(コクッ)」
「頑張ってね、降谷くん、期待してるから」
「はい」
「そうとなれば、いっぱい写真撮らなきゃねー」
私は青道高校野球部のマネージャーであり、写真を取るのも好きなのだ。
「俺が登板した時も撮ってくれよ!」
「はいはい、沢村くんのも撮るか…ら…」
あれ?急に意識がはっきりしなくなった。クラクラとする頭を抑えたがそれはなんの解決にもならなく…。
「ぇえええ!!?錦城(さん、先輩)!!?」
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意識が再び、戻ってきたのは見知らぬベットの上だった。
「あれ…?ここ…」
首が動かせる範囲だけで見渡して見る。どうやらここは青心寮らしい。だが、誰の部屋なのか…。
「お?気が付いたか?」
部屋のドアから御幸くんが入ってきた。
「御幸くん…ここって御幸くんの部屋?」
「あぁ、ちょうど部活が終わった所だ」
事情を聞くと私は風邪で倒れたらしい。かなり、無理をしていたとか…。ここに運んだのも御幸くんで今、寝ているのも御幸くんのだ。