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色々短編集

第1章 《ダイヤのA》バカでも風邪は引く


や、やっと放課後だ…。

今日の授業が全て終了し、くたくたになりながら教室を出て部室へ。今日は朝から体が重く、妙に熱っぽい。それでも気のせいだと思っていたが放課後には悪化していた。

「部活終われば帰れるし、それまで頑張らなきゃ!」

部室に向かう途中、降谷くん、沢村くん、春っち…そして御幸くん。どうやら何か話をしているみたいだ。

「あ!錦城さんだ!!オッス!」

「沢村くん、今日も元気ねー」

沢村くんが先に私に気が付き、声を掛けた。それに釣られるように他の三人も私に振り替える。

「錦城先輩、こんにちは」

「どうも」

「よう、遅かったな?錦城」

「御幸くんが早いんでしょうが」

「はっはっはっ、まあな」

目の前で快活に笑う御幸くんは私の彼氏。不本意にも私が惚れてしまった唯一の男の人だ。

「なんの話してたの?」

「次の試合の話だ」

「成る程、また降谷くんが先に投げるのかな?」

「…(コクッ)」

「頑張ってね、降谷くん、期待してるから」

「はい」

「そうとなれば、いっぱい写真撮らなきゃねー」

私は青道高校野球部のマネージャーであり、写真を取るのも好きなのだ。

「俺が登板した時も撮ってくれよ!」

「はいはい、沢村くんのも撮るか…ら…」

あれ?急に意識がはっきりしなくなった。クラクラとする頭を抑えたがそれはなんの解決にもならなく…。

「ぇえええ!!?錦城(さん、先輩)!!?」


**********************


意識が再び、戻ってきたのは見知らぬベットの上だった。

「あれ…?ここ…」

首が動かせる範囲だけで見渡して見る。どうやらここは青心寮らしい。だが、誰の部屋なのか…。

「お?気が付いたか?」

部屋のドアから御幸くんが入ってきた。

「御幸くん…ここって御幸くんの部屋?」

「あぁ、ちょうど部活が終わった所だ」

事情を聞くと私は風邪で倒れたらしい。かなり、無理をしていたとか…。ここに運んだのも御幸くんで今、寝ているのも御幸くんのだ。
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