第6章 ~声~
「信じるか信じぬかは、主次第打がな・・・けど、吾が云った事は全て真実だぞ・・・」
「・・・っ・・・・・・ぐ、」
『破滅の王』の哀しみに呉れた表情に小十郎は、情が締め付ける傷みに顔を歪ませ、其の場に膝を付いた。
「・・・痛いか・・・『魔界の王』よ・・・」
「・・・っ、ぁ・・・ぐ、ぅぅ・・・」
「・・・其が、情の傷みだ・・・」
「ぁ、っぅ・・・ぃた、み・・・っ?!」
苦痛に歪んだ表情で顔を挙げた小十郎は、突然襲った温もりに身体を強張らせた。
打が、次第に其の温もりを心地好く感じ、先程まで襲って居た激痛が徐々に和らいで行った。
「・・・傷み、此が傷みなのか・・・」
「・・・・・・」
「情が締め付けられる様な傷み、か・・・」
「・・・・・・・・・」
「此は、二度と味わいたくねぇな・・・?!」
「・・・・・・・・・・・・」
落ち着きを取り戻した小十郎は、己を抱き締めて居た腕を程こうとした。
打が、其を良しとせずに先程寄も強く抱き締められて締まった。
「っ、おい!放せ、っての!!」
「・・・・・・・・・嫌だ・・・」
「・・・っ、政・・・宗か?」
「・・・嫌だ・・・嫌だ、放さない、」
「・・・政宗・・・」
人格を取り戻した政宗は、頑なに小十郎を抱き締める事を止めなかった。
政宗の悲痛な声を聴いた小十郎は、抵抗する事を諦めて、政宗の好きに差せる事にした。
「・・・・・・小十郎、」
「・・・何だ、政宗・・・」
「オレの事・・・嫌いに為ったか・・・?」
「何故、そう想う・・・?」
「・・・約束・・・破ったから、」
「・・・・・・」
「小十郎との約束破って、地下に行ったから、」
「・・・・・・」
「オレ、小十郎に捨てられるのか・・・?」
「政宗、俺は御前を捨てねぇ・・・」
「・・・嘘・・・易しい嘘は要らない、」
「政宗、嘘じゃねぇ・・・」
「・・・・・・本音・・・?」
「・・・本音だ、政宗・・・」
政宗は、小十郎を腕の中から放し指を絡めた。
其に小十郎は、指を絡めて応えた。
小十郎の反応に満足した政宗は、微かに頬を緩めた。
「・・・小十郎、あのな・・・約束、して欲しいんだ、」
「・・・・・・」
「”オレがどんな奴でも、此の手を放さない“って・・・」
「・・・解った、約束する・・・」
「約束だぞ、小十郎、」
「解ってる、政宗、」
ー放さないで、オレの願いを・・・