第4章 ~喧嘩~
「失礼します、王よ。御食事を御持ちしまー」
小十郎の自室に食事を運んで来た使用人は
「ー王よ!其の御顔は、一体どうなさったのですか?!」
小十郎の顔を見るなり驚いた声を挙げた。
其に小十郎は、膨らんだ布団を叩き、不貞腐れながら応えた。
「・・・猫に・・・引っ掛かれた・・・」
「猫・・・で、御座いますか?」
「あぁ・・・猫だ・・・」
小十郎の頬には、引っ掻かれた様な爪痕が、くっきり付いて居た。
どうやら、布団に丸まった政宗に小十郎が何かやらかして、怒った政宗が、小十郎の頬を引っ掻いた様だ。
小十郎は、布団に丸まった政宗に覆い被さる様に話し掛けて居たが、政宗は其に布団の中から唸り声を挙げて拒絶して居た。
其を見かねた使用人が、小十郎に話し掛けた。
「・・・王よ。猫は警戒心と云うモノが非常に強い生き物です。なので、易しく接しないと嫌われますよ?」
「何!!?嫌われるだと!!!?」
「はい。新しい生活環境なら尚更です。なので、王よ。易しく、ですよ?くれぐれも、易しく接して下さいませ。では、私は此で失礼します。」
使用人は、其だけ云うと部屋を後にした。
其を聴いた小十郎は、潜ったまま出て来ない政宗に、易しく話し掛けた。
「・・・政宗・・・俺の事・・・嫌いに為ったか?」
「・・・・・・為った・・・」
「・・・じゃあ・・・俺から、逃げたいか?」
「・・・・・・・・・」
「・・・政宗・・・好きだよ・・・」
「・・・・・・っ!!!!」
小十郎の告白を聴いた政宗は、布団から飛び出したと同時に、小十郎に抱き締められた。