第62章 未来への架け橋
廊下に出たところで私は無事に解放された
クロ
「……あのな、葵」
なんか怒ってる
絶対怒ってる!
だって声のトーン低いし!
葵
「は、ハイ、ナンデショウ……?」
クロ
「お前は忘れたかもしんねーけどさ、俺お前のことまだ好きなわけよ」
いきなりのことに胸に違う高鳴りが生まれる
葵
「え、あ、ハ、ハァ……。」
クロ
「うん。だからさ、お前に死なれたくないって–––」
クロが近づいてくる
貼り付けたような笑顔が怖くて少し後ずさりしてしまう
けど、その刹那見せた彼の表情が凄く切なそうで、苦しそうで
クロ
「いったよな………」
私の胸もはち切れんばかりの気持ちが溢れそうで–––
葵
「私は、死なないよ。」
クロを抱きしめた
クロの背中をさすって、私は彼の胸の中でつぶやく
葵
「私は、死なない……。絶対に」
クロ
「葵……。わりぃ、1番ツライのはお前なのにな…。」
葵
「ううん。笑ってればなーんにもツラく思わないの。ほら、クロも言ってくれたでしょ?『お前が笑ってくれさえいれば、それでいい』って。
私、クロのおかげでもっと前向きになろうって思えたの。だから、ありがとうクロ」
クロは無言で私を抱き返してくれた
なんとなく、震えている気がした––––