第52章 表と裏
赤葦さん
「でも3人でどうするんですか、木兎さん」
木兎さんは目を瞑り、うーんと唸りながら頭をひねる
葵
「あの、じゃあ僕ブロック練したいんで2人は打っていただけませんか?」
木兎さん
「まじで!よし、じゃあそうしよう」
赤葦さんが「でも……」と漏らす
それを聞き逃さなかった木兎さんが、赤葦さんの顔を覗きながら「どうした?」と聞いた
私も赤葦さんの顔を覗く
赤葦さん
「あんた、スパイカーだったよね?
試合の時、打ってたじゃん
見るからにミドルブロッカーじゃなくて、スパイカーでしょ?」
葵
「確かにスパイカーですけど、ウィングスパイカーっていうのは、いわば攻守バランスがとれたオールラウンダー
レシーブ力も勿論個人的には付けたいんですけど1人でもブロックの上手な人がいたらチームに大きな貢献ができるかと思いまして」
赤葦さんは少し目を丸め、そしてフッと笑った
赤葦さん
「じゃあ、やろうか」
向こうのコートには、木兎さん、赤葦さん
そしてこちらには、私1人
まずは向こうが緩めにこちらにボールを入れ、私はそれをレシーブする
そのボールを赤葦さんがトスし、木兎さんがアタック
私はブロックに飛ぶ
バチィンッ!!!
鋭い破裂音に似た音が手から生まれる
葵
(つ、強い……!)