第52章 表と裏
木兎
「よし!取り返すぞー!!」
向こうのチームの主将さんが、ハイテンション且つ調子を上げてしまい、私達は負けてしまった
で、今回のペナルティはというと
森然限定!さわやか!裏山深緑坂道ダッシュ!!
らしい(笑)
繋心
「お前、大丈夫なのか?」
葵
「チームとしている以上、参加しなきゃフェアじゃないでしょ?」
大地さんの「GO!!」の掛け声で一斉に上り坂をダッシュする
足が重い……
きついな、コレ
やっと下り坂になれば、今度はコケそうになった
体力のない私は一番最後だった
やっちゃんにドリンクを貰って、どっこいせなんて言ってその場に座った
はー、はー、と息を切る
じりじりと照りつける夏の日差しが痛い
夜になった
日も沈み、涼しい風が体育館を通り抜ける
けど、ずっとバレーして動いている私達にこの温度差がわかるはずもなかった
見事に全敗し、今日一日で何度この坂道をダッシュしたことやら
汗もかいているし、早めにお風呂に入って早く寝よう
うん、そうしよう
そうしようと思ってたのに、第三体育館前を通った時だった
「お、いいところに!」
葵
「ぐえっ!?」
いきなり首に腕を巻きつかれ、逞しいお胸に引き寄せられる
こんなことするの、絶対クロしかいないじゃんか。
苦しもがきながらも、見上げるとやっぱりクロだった
クロ
「葵、飛びたりねーよな?
だよな?よし、俺達が付き合ってやるぜ」
葵
「ぐっ、あっ、ちょっ、と!!
私、一言も言って、ぐっ、ないんだけどっ!!」
ズルズルと引きづられて、第三体育館へ連行されていくのでした。