第46章 デンジャラス アウェイ
試合は1セット先取で勝敗を決める
及川
「葵ちゃん、せっかく4対4にしたんだから本気できてね?」
葵
「あはは
僕はいつも本気ですよ」
及川
「……………うそつき。」
ピーッ
及川がサーブを打つ
それを私が拾った
ビリビリと腕に電気が走る
葵
(前より強い?)
矢巾がトスを上げた
私と花巻が助走、踏み切る
私の手元にやってくるボール
ネットの向こうにはブロックしようと飛ぶ岩泉と松川
バンッ
岩泉の手のひらにボールが打ち付けられるも、貫通
そして、相手側のコートにボールが落ちた
葵
「あの………
トス、も少し上におねがいします」
矢巾
「りょーかい」
サーブ権がこちらに移った
花巻
「お前やってみてよ」
葵
「いいんですか?」
花巻
「おう」
じゃあ、と言ってエンドラインの後ろに立つ
及川が目で訴える
『本気でやって』と
ここまで気遣ってくれたんだ
誠意には誠意で答えなきゃいけないよね
タンッタンッとボールをはねさせる
手に持って額にぶつける
目を閉じれば、物音が遠ざかっていく錯覚に陥る
ピッ、とホイッスルがなる音を聞くと同時に、私は高々と前方に投げ上げた
自分も走る
ボールが落ちてくる
エンドラインギリギリで踏切り
思い切り飛ぶ
ぶわっ
腕を振り上げる
手に残るボールの芯を捉える感覚
瞬間、ネットを越えて鋭角な放物線を描き堕ちるボール
ダン、