第44章 ファイナルセット
及川がサーブを打つ
葵
「西谷さん!」
旭さん
「西谷ァァ」
バァン!!
向かってくるボールを顔で流した
それが、コートの外に落ちる
赤い旗が振り上げられる
及川がサーブをミスったのだ
しかし、その1点は青城のエースに取り戻される
岩泉
「これでチャラな
どっちだって同じ1点だ」
及川
「岩ちゃんに負けた気分……!」
岩泉
「お前は今までのいつお前に勝ったんだ」
及川
「全体的にいつも俺が勝ってる!アダッ」
それからも互角の戦いを繰り広げた
そして、両チーム30点を超えた
葵
「ゲホッゲホッ―
(くそ……)」
攻撃が単調になってきている
どっちも余裕はないって感じだろうけど……
ローテも一周回ってしまった
また及川のサーブ
岩泉
「及川
お前 試合中にウシワカの顔チラついてんならブットバスからな」
及川
(確かにさっきのサーブの前
ちょっと過ったけども)
岩泉
「目の前の相手さえ見えてない奴がその先にいる相手を倒せるもんかよ」
及川
「 ふ…… ふっふふ……
そうだね」
及川
「――……」
『またもノータッチエース!!このセット3本目!!』
『いやあいいサーブですね』
『ノリにノッていると言った感じです!!』
(葵ちゃん、俺はキミに感謝してる
バレーを始めて、沢山練習した
ボールを触りたくも、見たくもない時があった
認めて貰えなくてムシャクシャした時もあった
けど、あのテレビを思い出す度に憧れと負けてられないって気持ちが出てきた
俺より小さいキミに負けてられない)