第44章 ファイナルセット
瞬間、湧く喝采の声
そして、そんな中山口が頭をさげる
山口
「すっ すみません……!!」
葵
「……きっ、気にするな!」
旭さん
「ドンマイ!!」
影山もドンマイと言う
山口はより一層申し訳なさそうにすみませんと繰り返した
控えに返っていく山口の背中に大地さんが声を掛ける
振り返った山口、とても怯えて「は……す、すみません」と言いかけたら
大地さん
「次 決めろよ」
山口
「―――……
ハイ!!!」
葵
「―――」
なんだろう
凄く、お腹の底からふっと力が湧いてくるような
やっと、全力を出せるような
そんな気分になる
烏野の空気が変わる――
ゴッ
少しずつ少しずつ
それでも確実に点数を稼げ
"次を"
次も戦うチャンスを掴め!!
大地さん
(青城は20点に乗った
もう後は無い
自分の集中が今 この試合で一番高まっていると分かる
サーブ、スパイク 来い、
俺に来い
ぜんぶ 拾ってやる!!!)
葵
「キャプテンナイスレシーブ!」
大地さん
「!」
旭さんが打つ
葵
(打点下がってきてる……)
「国見ちゃん!!」という及川の声
さっきからこの人の名前をよく聞くようになった
前半にも居たけど、そこまでって感じ
気のせい?
烏野20−23青城
葵
「っ」
大地さん
「落ち着いて
目の前の1点確実に獲る!
目の前のボールが全部だぞ!!」
葵
「ッス!」
「葵ラスト!!」と影山のレシーブをカバーした西谷さんが呼ぶ
葵
「ハイッ!」
ドガガッ
打つもブロックされて、こっちのコートに落ちるボール
目の端がそれを捕らえた時、大地さんの言葉が頭の中でこだました
"目の前のボールが 全部"!!!
足でボールが落ちるのを阻止する
それを日向がカバーした
カツッとネットをかすめ、青城のコートへ落ちた