第42章 One for all , all for one.
葵side
また及川のサーブのターンだ……!!
どうする……って、あれ!?
「二人体制………?」
蛍
「何言ってんの?
さっき烏養監督が言ってたデショ
あー、君居なかったもんね〜」
おっしゃる通りです、はい。
たぶん、あの時だ
私が、及川と向こうのエースの人と会話していた時だ
繋心も考えたな〜
ローテが1セット目よりちょっと回してスタートしたのは、守備力の高い大地さんと西谷さんが及川のサーブに対応出来るように―か
あれ、でもこのフォーメーションやったことあるのかな
少なくとも私が入ってからはやってないような気がする
あれかな?ずっと前に烏養監督様が見越してやったことあるのかな
だったらすごい……!!
でも、このフォーメーションの欠点は一人あたりの守備範囲が2倍になるってこと……
一人一人に高い能力が求られる
ううん、この二人なら
この人達なら、出来る。
絶対に、成し遂げてくれる
「来い!!」
後ろの二人が力強く言った
及川がサーブを打つ
ギュルッと曲がった方向は――
「大地さん!」
ドパッーーーーー
上がった!!
この一本、この繋ぎ止めたこの一本は凄く重要な一本
及川が1セット目の5点分とった
この一本を切ることが、第3セット目への道になる!
菅原さんがトスを上げる構えになる
ネット際まで私は走る
グンッと勢い良く飛び上がる
そして、菅原さんのトスが絶妙な位置へ飛び込んでくる
それを、思いっきり、叩く!!!
バンッ
「「「しゃあああ!!!」」」
響くチームの歓喜の声
よしっ、と私もガッツポーズをする
菅原さんも、西谷さんも背中をバシバシ叩いてくれる
チームの為に、私は飛ぶ
ひとりはみんなのために
みんなはひとりのために―