第42章 One for all , all for one.
ローテーションが回って、サーブ権が烏野になる
次のサーブは私だ
ダンッダンッとボールを数回地面で跳ねさせる
「ナイッサー」
コートの中だけど、なんだか遠くに感じた
及川
「葵ちゃんのサーブ……!!」
岩泉
「久しぶりに見るな」
及川
「一本で切るよ!」
ピッ
サーブを打てと笛の合図
瞬間、辺りの喧騒が一気に冷める
ピンと張り詰めたような緊張のある空気
誰もが息を呑んで、サーブを待つ
目を軽く閉じて、開ける
ヒュッ
バシイン!!!
高く高くボールを上げた、ジャンプサーブ
及川
「渡りっち!!」
渡
「っ!!」
ピッ
一瞬にして、さっきの喧騒が戻る
「なんだあいつ!?スゲーッ」
「リベロから獲った!!」
岩泉
「昔と変わらねえのな」
及川
「やっぱりスゴイねー」
嶋田
「うっわー……
見た!?」
滝ノ上
「おう……見てたよ
俺、あんな高くサーブトス上げてコートを見下ろすようにサーブ打ってるとこ見るのテレビしかねえわ」
嶋田
「ああ、あれだろ?
『期待の星』」
滝ノ上
「そうそう
もしかしたら、本人とか……?」
嶋田
「いやいやいや!?
ないない!
あの子女のコだったべよ!あのチビちゃんは男!」
滝ノ上
「わかんねーかもよ?
もしかしたら男装っていう……」
嶋田
「絶対無いわ!」
そうか……?と一向に食い下がる気のない滝ノ上に嶋田は呆れツッコむことをやめた