第39章 王様VS大王様 夢(?)の試合
宮城県 病院にて――
葵の主治医は、夜が更けて人気のないこの院内を出て、自分の家に帰ってきた
東京から離れてきたもんだからもちろん今の自分の家には人っ子一人もいない
帰宅早々、テレビをつける
録画していた番組を見ようい一覧を開く
すると、普段は録らない見慣れない番組が取られていた
こんなもの、いつ予約したかなと内容を見るべくその番組を見始めた
どうやらローカル番組で、名前を「オバンドゥースみやぎ」とかいうやつだ
そこで、思い出した
そういえば、葵が通っている高校のバレー部が試合だったから録ったのだと
テレビの中のリポーターは、軽快よく歯切れよく、この日の会った試合状況を話ししていく
強豪校かつ、注目校は他の学校よりも少し長めに
烏野は、伊達工業というブロックで有名らしいところと試合をし、勝ち進んだみたいだ
次に対戦するのは、強豪校といわれる県ベスト4の青葉城西高校と戦うらしい
それが、明日というよりは厳密にいうと今日はだ
日付なんてとっくに変わっていた
それはいいとして、主治医は嫌な予感がしてたまらなかった
今、入院している患者さんの中に「烏養さん」という人が居てその人と話をしたところ、どうやら昔烏野のバレー部の監督をされていたそうだ
今は孫さんがコーチをされているそうだ
つまり、あの烏養さんの孫さんだから当然血が繋がっているわけで、それもあの性格を継いでいたならば……
ピンチになれば葵を出すだろう
承諾は確認するだろうが、何せあの葵が「無理」の二言など言うまい
となれば、きっとまたあいつは無茶をする
しかねない
忠告の電話をしたいのも山々だが、深夜だしさすがに眠りについているだろう
起こしてまで言うのもかわいそうだし、第一そんな非常識なことは出来ない
ならば、朝にと思って目覚められるかどうか
それも心配だ
明日というより、今日は休みをもらっている
ゆっくりもしたい
そんな不安や憶測が溢れる中、いつのまにか眠りに落ちていたのだった