第38章 決心
葵side
テレビの中の女性アナウンサーが、明るくハキハキと物事を伝えていく
若の学校の説明が終わった頃には、私の手は固く握られていた
葵
「止めるのは
私だよ………若」
そう呟いた
握りしめてる手が、何やら湿っている様な気がしてその手を開くと紅い血が滲み出ていた
強く握りすぎた
つーっと流れてくる血を流石に職員室に落とすのはどうかと思った
葵
「…………水道に行ってます」
テレビに喰いつく部員の背中に1言かけて、私は職員室を後にした
繋心
「…………」
サーッと流れる水に、手をかざす
傷口から滲み出る血はいとも容易く流れていった
ザッーーーーー
後ろから音がした
「おい」
声をかけられる
振り向けば
葵
「あぁ、繋心………
何?」
繋心
「"牛島 若利"」
葵
「!」
繋心
「お前とそいつの関係って
なんだ」
流している水がより一層よく聞こえる
風が髪をかする
キュッ
蛇口を捻って水を止めた
面と繋心と向きあう
繋心の少し苛立ちが見える顔が映る
葵
「別に………
なんてない"いとこ"だよ」