第36章 伊達 vs 烏
葵
(落ちる……!!)
そう思った
トンッ
葵
「っ!?
あ、足っ!?」
西谷さんが、足でボールを繋いだ
リベロに特化した西谷さん
あのプレーは、ほぼ反射なのかも……
なんて考えていると、身震いした
凄い………
「「「もう一回!!!」」」
菅原さん、日向、西谷さんの声が重なる
影山が、高めのネットから少し離したトスをあげた
フッーーーーーー
キュッキュッキュッ
スッ
その一連の動きが私にとってスローに見えた
同時に、ピンッと空気が張り詰めて静寂する
菅原さん
「行け!旭!!
行け!!!」
大地さん
「ブチ抜け 旭!!」
2人の声がすると、一気に事の連動がいつもと変わらない速さに戻った
しかし、より一層静けさが増した
誰もが、エースの背中を見つめ
ひしと思った
行け!!
行け!!!
ゴッーーーーーーーーーー
スパイクの音、ブロックして手がボールに思いっきり当たった音
全ての音が、大きく聞こえた
威力を弱めたボールが、ライトの方と飛ぶ
も、ネットと平行に飛んだボールが落ちたのはネットの上だった
ぐらり、ぐらり
まるで、ボールがどちらに落ちるか迷うみたいに1、2度揺れた
ふわんっと、こぼれ落ちたコートは相手チームの所だった
試合前、私に話しかけてきたチャラチャラした二口が、必死に拾いに行く
も、間に合わなかった
………ピッ
ピピーッ
「オオオっしゃあああ!!!」
メンバー全員が、雄叫びをあげた