第26章 次の一歩
「挨拶!!」
「ありがとうございましたーっ!!!」
最後の挨拶を交わす
葵
「………じゃーね」ニコッ
孤爪
「うん」
黒尾
「なんでそんな辛気臭いんだよ」
葵
「だって、行っちゃうんでしょ?
…………さみしいんだから」ボソッ
孤爪&黒尾
「…………」
ポフッ
2人の私より大きな手が頭に乗っかる
孤爪
「また会おうね」
黒尾
「連絡するからな」
葵
「うん……!」
黒尾
「そんじゃ、そろそろ行くか」
孤爪
「……うん
じゃーね」
葵
「次はっ!
次あった時は!!
負けない!!」
ニッと3人笑う
ひとしきり別れを惜しんだあと、音駒は夕焼けに照らされた道を歩いて行く
私は、背中が見えなくなるまでずっと見ていた
大地さん
「よし、俺達も帰るか」
皆が揃えて「ウスッ」と返事をした
同じように、夕焼けに焼けた道を歩く
影山
「―今日のが公式戦だったら
1試合目 負けたあの瞬間に
終わるんだ ぜんぶ」
隣の日向は黙って何か考えてるみたいだった
考えてるというより、思い出してる
日向だけじゃなく、私も影山も
思い出していた
日向
「知ってる」
葵
「………」
繋心
「―そーだ
わかってんじゃねーか
そんでその公式戦……IH(インターハイ)予選はすぐ目の前だ」
葵
(インハイ予選………)
繋心
「さっさと戻るぞ
今日の練習試合の反省と分析と
そんで練習だ」
「あス!!!」
朱く染まっている空
東の方は夜が差し込んできている
幻想的な景色に、今日と明日を見ていた
葵
(あの闇がきて、開けたら明日
もう2度と戻ってこない今日
もっと強くなりたい
その為の、明日ーーー)
一歩、踏み出した