第12章 帰ってきた英雄
葵
「旭さん、部活戻ってきてください
皆、旭さんが戻るのを待ってます」
旭さん
「えっと………
その前に、誰かな?」
葵
「バレー部1年の津田です
戻ってきてください!!
菅原さんも西谷さんも、大地さんだって待ってます!」
旭さん
「…………悪いな
俺が戻ってもまた、皆の足引っ張ってしまうだけだ」
葵
「聞きました、1ヶ月前の大会のこと
1年の僕が言うのも、何ですけど、
ドシャットされて、負けてしまったなら次はそうならないようにすればいいんじゃないですか?
精進すればいいんじゃないですか?」
旭さん
「確かに、そうかもしれない
けど、俺は、もうトスを呼ぶのも怖いんだ
ブロックを前にして、跳べないんだ」
葵
「旭さん、トスを呼ばれない気持ちわかりますか?
ブロック前にして跳べないの、わかります
僕だって、怖い
だけど、後ろにはちゃんと仲間が居てくれる
ちゃんと繋いでくれたボールを!
旭さんはっ
自分が怖いからって!諦めるんですか!?
ミスしても、仲間が居るのに!
ついているのに!
仲間の想いを背負って、決めるのがエースだと思います
この人に託したいって思うから、皆旭さんを頼るんだ………
なのにっ…………」
旭さん
「……」
葵
「生意気言ってすみません」
軽く頭を下げて、体育館へ走っていった
葵
「ケホッ………
ゲホ!!
はぁっ、はぁっ…………」