【黒子のバスケ】お手をどうぞ、お姫様【裏*18禁】
第48章 *もう会えない……【虹村修造】*
虹村side
「オメー……」
が「嫌だ」って言うのは予想してた。
泣かれるのも覚悟してた。
なのに……泣かない。
一滴も溢れない。
見えるのは無理に作った笑顔だけ。
そこからは気を使わせてしまっているのが手に取るように分かる。
見てると胸が押し潰されそうで……顔を上げられない。
また涙腺が緩んできてしまう。
今だ素肌を晒したまま抱き合うオレ達だけど……
伝わるのぬくもりが何故だか冷たく感じた。
これでもう完全に終わりだと……そう決まったからだろうか。
「わり…っ」
「謝らなくていいです…!お父さんの側に居てあげて下さい……」
「……ああ…っ」
「病気が治る事を……ここから祈ってます……」
身体を……離すべきか……。
このまま抱きしめているわけにもいかないだろう。
オレが上体を起こしてしまえば、こいつには二度と手は伸ばせない。
「っ……」
でもオレは……動けなかった。
離れるどころか腕に力を込めてしまう。
背中に感じるこいつの手も同じ事を思っているのか遠ざかって行かない。
……こんな事してたら決意が揺らぎそうになる。
「やっぱり別れたくねぇ……」って口を動かしてしまいそうだ。
だからオレはゆっくりとこいつから身体を離す。
少しずつ剥がれていく肌が切ない……。
「待って…!」
「あ…?なんだよ……」
「まだ……まだいいじゃないですか…!私が帰るまででいい……ワガママですけど……それまで貴方の彼女でいさせて下さいっ……」