【黒子のバスケ】お手をどうぞ、お姫様【裏*18禁】
第48章 *もう会えない……【虹村修造】*
「先輩っ!早く早く!」
「オラ、前見て歩かねぇと転ぶぞ」
オレがアメリカに発つ1週間前。
帝光生じゃなくなったオレは、春から3年になると一緒に遊園地に来ていた。
丸1日余す事なく過ごそうと思って誘ったんだ。
こいつがしたい事全てを叶えてあげたくて。
練習で忙しくてマトモにデートなんてした事なかったから……せめて最後だけはのワガママを全部聞いてやりたい。
……やっと決心がついたんだ、今日言うと。
オレはもうお前とは会えないって……。
「何乗ります?!あれ?!あれ?!」
「はしゃぎ過ぎだオメーは」
「だって先輩と来たかったんですもんっ!」
「そうか。良かったな」
「はいっ!!」
良くねぇな……。
折角こんなに楽しそうにしてるのに夜には一変するだろう。
オレが自らの手でこの笑顔を壊す事になるんだと思うと……微かに視界が揺らいで見えてくる。
泣いてるなんてバレたくないからとは逆の方を向いて隠すけど……
「先輩っ!先ずは絶叫行きましょう!絶叫!」
「っ……分かったからでけー声出すなよ」
「あれっ?先輩どうしたんですか?目が……」
オレの手に感じるこいつのぬくもりが余計促してくる。
ずっと握っててぇ……この小さな手をずっと……。
そんな事思っても、ドラマみたいに「一緒に来てほしい」なんて言える歳じゃない。
だから離れるしかないんだ。
この涙の訳を知りたいだろうけどまだ言えない。
でも後で必ず話すから今は誤魔化させろ。
目にゴミが入ったからってベタな事しか言えないけど……。