【黒子のバスケ】お手をどうぞ、お姫様【裏*18禁】
第47章 *切ない試練【黄瀬涼太】*
あのっちが……抱き付いてきた。
あのっちが。
キツく腕を回していて全く離れる気配がない。
でもこの行動のお陰で、今日のメッセージはちゃんと届いていたんだと思えた。
「バカバカバカ…!テレビであんな事言って……大丈夫なの…?!」
「心配するとこソコっスか?平気っスよ」
「週刊誌とか…!載ったりするんじゃないの…っ」
「かもしれないっスね」
もっと甘いセリフを期待したけどっちらしい。
オレの心配をしている。
こっちからも抱きしめ返してあげたいって衝動に駆られるけど……外はちょっとマズい。
ここはグッと堪えなければ。
「っち、人目があるから部屋行かねぇっスか?」
「っ……」
鼻を啜りながら頷いたっちを連れてマンションの中へと進むオレ。
心臓がバクバクいってて煩い。
部屋に着いたらキチンと目を見て謝らなくちゃ。
ちゃんと直接想いを伝えなくちゃ。
そう思いながら鍵を差し込んで中に入ったのに……
「っち…っ」
オレは玄関でいきなり抱きしめてしまった。
もう二度と離さないって力込めて。
今度は暴れられる事もなく、押し返される事もなく……
っちもオレに腕を回してくれた。