【黒子のバスケ】お手をどうぞ、お姫様【裏*18禁】
第47章 *切ない試練【黄瀬涼太】*
さんside
【甘え下手なキミ……って言えば分かってくれると思うんだけど、これ見てくれてるっスよね…?】
「うそ……」
私はちゃんと見てた。
指が勝手にリモコンを操作してしまうようになっていたから。
でもまさかテレビを通じて私にメッセージを送ってくるなんて思ってなかったから驚いた。
一体何を言ってくるんだろう……。
【本当にごめん……。オレがついた嘘でキミを深く傷付けちゃって。この何年ずっと自分を責めて過ごしてきたっス。あの時に時間を戻せたらどれだけ良いだろうって何度も考えたりして……】
「涼太……」
【忘れられねぇんスわ、キミの事が。笑った顔も怒った顔も……泣いてる顔も照れてる顔も……全部鮮明に覚えてて、いつも思い出すんス】
「……」
【あの嘘を許してくれとは言わない……でもこれだけは言わせて欲しいっス。オレは今でも……】
〝大好きっス〟
「っ……」
「ありがとうございました!」なんて他の出演者の声が聞こえる。
今の涼太からの言葉が嬉しくて……私は涙ボロボロで口に手を当てていた。
ボヤけて見える涼太に向かって手を伸ばすけど、感じるのは熱を持った平らな画面の感触だけ。
もう……いてもたってもいられない。
私はスマホと鍵だけ持って外に飛び出した。
会いたくて会いたくて……酔っててあまり覚えてない記憶だけを頼りに涼太の家まで走る。
そこに行けば必ず会えると信じて。