【黒子のバスケ】お手をどうぞ、お姫様【裏*18禁】
第47章 *切ない試練【黄瀬涼太】*
「……」
その日からオレ達は別れて……一言も会話せずに卒業し、今はもう大人。
オレはモデルの延長で芸能界に入って日々活躍中。
営業スマイルは得意中の得意だから特に問題なく順調。
でも今のオレには笑顔はない。
手の中にはっちと写ってる写真があって……それを見てたら昔を思い出した。
写真の中にいる2人は凄く幸せそうで……笑顔全開。
「っち……」
もう……名前を呟くだけで視界が歪む。
忘れられないんだ、彼女の事が。
夢に見てしまうくらい好きで……胸が押し潰されそうなくらい苦しい。
仕事柄目を泣き腫らすわけにはいかないから、涙が込み上げてきた時には必死になって堪える。
両手握り締めて「泣くな、泣くな」って。
「クッ……うっ……」
けどそうやって我慢すると余計に泣けてきて結局は流れ落ちてしまう。
辛くて……情けなくて……
こんな自分、心底嫌いだと思った。
オレ自身が招いた結果に対して泣くなんて。
「会いてぇっスわ……っち…っ」
もし願いが叶うなら……別れたあの日まで時を戻してほしい。
もう嘘はつかないから……。