【黒子のバスケ】お手をどうぞ、お姫様【裏*18禁】
第44章 *沢山のありがとう【黄瀬涼太】*
しかしどうも納得いかなかった。
だってオレの誘いを断る女の子なんて居なかったし。
何で何でって考える程、心にモヤがかかって来る。
「おい黄瀬ぇ!周りをちゃんと見ろ!」
「っ……分かってるっスよ!!」
そのモヤは練習にまで影響して……終いには笠松先輩に怒鳴られる始末だ。
っちの態度一つでこんなに乱されるなんてオレはまだまだ未熟。
けどこんなに不安定になってしまうのは、彼女が自分にとって近くて遠い存在であるからだと思う。
本当は早く想いを伝えたい。
好きだって言って抱きしめたい。
そしていつでもオレの側に居て欲しい。
「クソッ……オレは…っ」
もう……限界だ。
好き過ぎておかしくなってしまう。
……というかもうおかしくなってる。
目に熱いものが込み上げてきてしまった。
〝告白してフられました〟って感じのオーラぷんぷんのオレに笠松先輩は足蹴りの技を出して来るけど……
「よく見ろバカ…!」
何故か先輩は入り口の方を指差した。
顔赤くして。
何だ?と不思議に思いながらそちらに視線を向けると、オレの大好きな女の子がそこに立って練習を見ていたのだ。
あ、だから笠松先輩は赤くなってたんスね。
こんなに距離があるのにどんだけダメなんスか。
……とかはこれっぽっちも考えず、一目散に駆け寄ってその小さな子を見つめるオレ。
「えっと……よ、用事が終わったので……黄瀬くんに会いに来ました」
「遅いっスよ」
「ごめんなさい……。あの、黄瀬くん…?」
「どうしたんスか?」
「今日も……一緒に帰ってくれますか…?」
「勿論っスよ、待ってて」
「はい…!」