【黒子のバスケ】お手をどうぞ、お姫様【裏*18禁】
第44章 *沢山のありがとう【黄瀬涼太】*
が、結局手を伸ばせないまま終わり……そして月日が流れた。
っちに猛烈アタックしてたお陰でほぼ毎日一緒に帰ってたオレ達。
練習を見に来てくれるのも自主練に付き合ってくれるのも、どれも当たり前みたいになってた。
周りから見たら付き合ってるように見えるだろう。
……多分。
けどオレはまだ気持ちを打ち明けていない。
出会った時の事を考えると……そんな事とてもじゃないけど言えなかった。
だからオレは毎日っちの隣を歩ける事に幸せを感じつつも、辛い日々を過ごしていたのだ。
「っち!練習行こう!」
「あ……ごめんなさい、今日はちょっと行けそうになくて……」
「え?!どうしたんスか?」
「んと……い、家の用事があるんです…!早く帰って来いって言われてるから……もう帰りますね…!」
「あっ!っち待って!」
今日もいつも通り「はいっ」って言ってくれると思ってたのに……断られてしまった。
咄嗟に伸ばしたオレの手は何も掴む事が出来ずに虚しく取り残される。
……悲しみが胸にどんどん広がってきて苦しい。
っちの動揺振りでそれが〝嘘〟だと直ぐに分かってしまったから。
どうしてそんな嘘をつくのだろう。
オレの事嫌いになったんだろうか。
人間は崖から突き落とされたような悲しみや絶望を感じると……
そう直ぐには這い上がって来れない。