【黒子のバスケ】お手をどうぞ、お姫様【裏*18禁】
第44章 *沢山のありがとう【黄瀬涼太】*
と言って差し出して来たタッパー。
開けてみると中にはレモンが。
オレがバスケやってるって言った事、っちはちゃんと覚えていてくれた。
嬉しくて思わず笑顔になる。
「すみません、ありきたりで……」
「全然!めちゃくちゃ嬉しいっス!あ、食べていいっスか?!」
「は、はい。どうぞ」
「いっただきまーす……はむっ」
もう……感動。
疲れた身体に染み渡るこの甘酸っぱさ。
っちが作ってくれたってだけで天にも昇る気分になった。
お陰でオレは号泣。
疲れも何処かへ吹き飛んだ。
「えっ、あの……」
「美味いっス…!ありがとうっち…!」
「っち…?」
「あ、オレ尊敬する人には◯◯っちって付けるんスよ」
「でも私尊敬されるような事は何も……」
「気にしなくていいっスよ!それよりこのまま練習見ていかねぇっスか?」
「え……いやでも……」
「いいからいいから遠慮しないで!」
オレが強引に引き止めたのは今日も送ってあげたいなと思ったから。
また襲われたら大変だし。
けど本音は……このままバイバイって手を振りたくなかったから。
まだまだ話したい。
一緒にいたい。
もっとっちの事が知りたい。
こう思うから……オレはっちに「見てて!」って言葉を残して練習に戻る。
手に差し入れを抱えて。