【黒子のバスケ】お手をどうぞ、お姫様【裏*18禁】
第44章 *沢山のありがとう【黄瀬涼太】*
笑った……。
心から笑っているわけではないけど、その笑顔はどんなモデルよりも可愛いなとオレは思った。
咄嗟に自分の胸を押さえてしまう程に。
掌に伝わってくる胸の鼓動は速いテンポを刻んでいる。
何人も付き合ってきて女の子に対しての免疫がついたと思ってたのに……
目が合うだけでドキドキするなんてまるで初恋みたいだ。
「すみません……私の方が何してるんでしょうね……」
「今の……すげぇ可愛かったっス」
「え…?」
「あ!いや何でもないっスよ!それじゃあオレは帰るっス!」
「あ……は、はい」
ていうか自分の初恋がいつだったかもよく思い出せない。
気付いたら女の子に囲まれてて……人気者だったから。
この擽ったい気持ちを味わうのは、これが初めてかもしれない。
「ははっ、やべ……ドキドキが収まんねー……」
さんちから離れ、オレは1人でニヤつきながら空を見上げた。
そこには満天の星空がー……とはいかないけど、ちらほら星が見える。
彼女が強姦されていたという事を忘れたわけじゃないし、さんを無理矢理押さえ付けてたあいつらに怒りを覚える。
けど……それでも表情が緩んでしまうのは、
オレがさんに一瞬にして心奪われてしまったからだ。
たった一回だけ見せてくれたあの笑顔に。