【黒子のバスケ】お手をどうぞ、お姫様【裏*18禁】
第44章 *沢山のありがとう【黄瀬涼太】*
「すみません……」
「いいっスよ。落ち着いた?」
「はい……」
暫くして泣き止んだ女の子がオレにお礼を言う。
モソモソと身体を動かし始めたから服を直すのかと思ってオレは後ろを向いた。
スマホを見ればもう夜の9時を過ぎていて、「女の子だし帰らないとマズいっスよね……」と、この子の家の事とかを気にしてしまうオレ。
大分優しい。
「すみません……もう大丈夫です……。あの……ブレザーありがとうございました……」
「ホントいいんスよ。それより立てるっスか?」
「あ……はい……」
って、手をついて立ち上がろうとするけど……
ガクガクと震えてしまってなかなか立てない。
無理もないか……と、オレはまた手を差し伸べてみた。
かなり戸惑ってて、直ぐにはやっぱり取ってくれない。
「オレは何もしないってさっき言った筈っスよ」
「……」
「大丈夫、帰ろう?」
そう言って微笑んであげたら、指先をチョンと手に乗っけてくれた。
「すみません……」の言葉と一緒に。
そんなに謝ってばっかりいなくていいのにと思いながら彼女を立たせ、オレは側に落ちていたカバンを持ってあげた。
「あの……」
「送ってあげるっス。1人じゃ危ないから」
「でも……」
「あー……でもそれすらも怖いっスよね、ごめん」
「いえあの……大丈夫、です……」