【黒子のバスケ】お手をどうぞ、お姫様【裏*18禁】
第42章 *オレとお前【青峰大輝】2*
背後に感じるの気配を気にしながら、会場から家まで一言も会話せずに到着。
玄関前で向かい合うものの、特に話す事はなかった。
「じゃーな」
だからオレは直ぐにそう言って背を向ける。
長居する理由はない。
けど……オレの足は一歩踏み出した所で止まってしまった。
ジャージを掴まれている感覚があったからだ。
がオレを呼び止めている。
「何だ?」と思いながら様子を伺うけど……何も話さないし、それ以上何もしてこない。
が……オレを捕らえているこいつの手が微かに震えている。
「なんだよ」
「……ま……」
「あ?」
「ま……って……」
手に力込めて「待って」と言った声までもが震えていて、「あー……泣いてるわ……」って思った。
泣き顔なんて1番見たくないし、振り返ったら自分が抑えられなくなりそうだから……オレは前を向いたまま。
「お願い……行かないで……」
なのにこいつは平気でこんな事を言って来る。
忘れようと思っても忘れられない女にそうやって鼻声で言われると……
振り返って抱きしめたいって衝動に駆られてしまう。