【黒子のバスケ】お手をどうぞ、お姫様【裏*18禁】
第15章 *好かない婚約者【赤司征十郎】*
「やあ、早かったね」
「お待たせしては申し訳ないので」
そしてその夜。
食事会といっても作るのはだ。
少しでも家庭の感覚を……とでも考えているのだろう、両家の親は。
素っ気ない態度をしつつも、僕を待たせないよう早く訪問する所に優しさを感じる。
「直ぐ作りますから休んでいていて下さい」
「やけに豆腐が多いようだね」
「もう寒くなりましたし、征十郎さん湯豆腐お好きでしょう?」
覚えていたのか、僕の好物を。
一度食べた事があるが……出汁の取り方が上手くてね、美味しかったよ。
家庭的という面ではいい妻になりそうだ。
「汚れたりしたらいけないので向こうで待っていて下さい」
「ああ」
けど僕を離そうとしてくるね。
柔らかく言ってはいるが、要するにキッチンから出て行けという事だろう。
こっちも手伝うつもりはないし、別に構わないが。
「ふぅ……」
しかしこんな食事の何が良いのだろうか。
心から愛してもいない女と二人でなんてね……。