第10章 あたしの想いはあなたじゃなくて
「あ、あのね?師匠。」
和「どーした?」
「相談が、あるんだけど」
和「うん」
「あのね、」
和「うん」
「あたしのことを
凄く凄く大事にしてくれる人がいて、その人ね、
私が、凄く凄く大好きな人にそっくりなの。」
和「へー。」
「うん。」
和「それで?」
「私ね、その大好きな人とね、
結婚するって約束したの。」
和「おー、おめでと。」
「でもね、そのね、
大好きな人にそっくりな人を
大事にするって約束したの。」
和「あら、頑張って。」
「あたしは、さとしが好きなのに
大野のことも大事だから。」
和「そーだね。」
「あたし、大野を通してさとしを見てるんだ。」
和「そっくりなのね。」
「大事にしてくれてる人のこと、
そーゆー風に利用してるの。」
和「いいよ、泣きなさい。」
「大野のこと、、大事にするなら、
やっぱり、、、そんなことしたら、、
駄目、、、、だよね。」
和「そーなの?」
「そーだよ!だって、気持ちは無いんだよ?
大野のこと、好きって気持ち、あたしには、
無いんだよ?!
だったらあたし以外の、
もっと大野を見てくれる人と、
大野が付き合うべきでしょ!?
その方が大野は幸せでしょ?!」
和「そーかなあ」
「でも、、だけど、、、」
和「うん。」
「大野が、離れてっちゃうのは、
凄く、いや…」