第3章 元彼を諦めるには
思わずどきっとして彼の顔を見上げた。
「俺が琴高の校門まで行っていちいち蒼子がお取り込み中だとか気にすんのは面倒なわけよ。」
…こいつやっぱり性格悪い。
「だからさ、待ち合わせ場所変えね?」
「?」
そうして幹也はいつもと違うルートを歩いていった。
着いた先はカフェ。
店内は高校生が多くて、お洒落な雰囲気。
「いらっしゃいませー。」
アルバイトらしき女の人が接客にやってきた。
「何名様でしょうか?」
「2人で。」
「かしこまりました。」
店員さんは笑顔で窓際の席に案内してくれた。
「ご注文が決まりましたらお呼びください。」
店員さんはメニューを置くと軽く会釈して下がった。
「…で、明日からここで待てよ。」
「…わかったけど、お店の中まで入ることなくない?」
「今日の気分。」
「はぁ?」
「今日はのんびりしたいんだよ。」
「…いつもの性欲どうしたの?大丈夫?」
「お前明日覚えとけよ。」
しまった、調子に乗ってからかいすぎた。
幹也がくすりと笑った。
「で、好きなもん頼めよ。おごる。」
「…………本当に今日、大丈夫?」
「…お前本当覚えてろよ。
俺はバイトしてるから少々おごるくらい平気なんだよ。」
「えっバイトしてたの?
ほぼ毎日会ってるのに?いつしてんの?」
「その会ってない日だよ。」
「それだけじゃあ日数少なすぎじゃない?」
「低時間重労働なんだよ。」
「それなんのバイト?」
「秘密。」
「……まさか麻薬とか運んでる?」
「違えよ。」
幹也は苦笑いしながら言った。