第3章 元彼を諦めるには
「勝ち目ないよあんな美人な先輩…。」
赭莉は少し俯いた。
私はなんて声かけたら良いのか分からなくて、黙って赭莉の頭を撫でた。
時は進みまして放課後。
私はいつものように校門で幹也を待っていた。
「蒼子ちゃん?」
するとそこに真也さんと他数名の男子に会った。
「真也さん。今から部活ですか?」
「おう。蒼子ちゃんは?誰か待ってんの?」
「えっと、友達、待ってるんです。」
一瞬答えに詰まってしまった。
不自然じゃなかったかな…。
とそこへ、間が悪いことに彼がやってきた。
「悪ぃ蒼子遅くなった…って取り込み中かよ。」
真也さんは幹也を見てかなり驚いていた。
「えっ!蒼子ちゃん彼氏いたの?」
「えっえーと、あの…。」
幹也の馬鹿!なんて言ったら…。
私が幹也にちらっと視線を送ると、彼は溜息をついて言った。
「違えよ。
蒼子は同じ中学の友達で、俺が極度の馬鹿だからたまに勉強教えてもらってんの。」
幹也が自然なフォローを入れる。
もちろん嘘だけど。
「へぇそう。」
真也さんはまだ疑い深そうに私を見ていたけど、私がそうなんですよと言わんばかりの笑みと堂々とした態度でいたからそのまま部活に向かった。
「焦るじゃない…!」
真也さん達がいなくなって私は思いっきり幹也を睨んだ。
「おー悪ぃ悪ぃ。次からちゃんと周り見て行動する。」
案外あっさり反省した幹也にほっとしていると、いきなり肩を組まれた。
そして耳元で囁く。
「とか言うと思った?」