第3章 元彼を諦めるには
あれから何度か電話がかかってきたけど、幹也に言われて以来、ずっと出ないでいた。
その結果、段々かけてくる頻度が下がり、今のところ最後に電話されたのは8日前になる。
それでも、私の心は透から放たれないでいた。
まぁでも、諦めるのには時間がかかる。
焦っちゃ駄目だ。と自分には言い聞かせてる。
そして幹也はというと…さっきもちょこっと言ったけど、ほぼ毎日呼び出される。
しかも私が…あまり認めたくないけど、彼なしじゃ体が持ちそうにない。
少し前、4日連続で呼び出されなかった日があり、そのときは自分でも驚くほど欲求不満になっていた。
なんだか心は透に引っ張られてるけど、体は幹也に引っ張られてるって感じ。
私こんな淫乱じゃなかったのに、幹也のせいだ…。
そして今日も呼び出されてる。
というより、最近は呼び出されないときに連絡して、何も連絡がないときは私が校門で待って幹也が迎えにきて、って感じになっている。
それほど呼び出されない日の方が少ないのだ。
しかもこのことは…赭莉に言えてない。
そりゃそうだ。
毎日彼氏でもない人とヤってるなんて言えない。
「真也さん、昨日会ったら元気になってた。」
お昼休み。
赭莉は珍しく購買のパンを食べている。
私は朝ご飯のあまりを詰めただけのお弁当。
「それって?」
「うん…なんか元カノさんに友達としてやり直そうって言われて前みたいに話せるようになったんだって。」
「やばいじゃん。」
「やばいよー!
しかも真也さん、私のこと妹ぐらいにしか思ってないんだよー…。」
「あのさ赭莉。
その、真也さんの元カノって誰なの?」
「…紗良(サラ)さん。」
「紗良さん?」
「そう。相澤紗良さん。」
「…相澤?」
「そうなの。相澤太郎君のお姉さん。
すっごく美人なの。」
あの人かー、と太郎さんと並んで歩いていた美人な先輩を思い出す。