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私の恋色 -BLUE-

第3章 元彼を諦めるには



「で?何か用か?」


良介が太郎さんに聞く。

あ、ちなみに私は太郎さんのことをさん付けで呼んでる。

太郎って名前が普通すぎるから、なんか変わった呼び方をしようと思って。

本人は嫌そうだったけどお構いなく太郎さんと呼んでいる。


「お前職員室呼ばれてたんじゃねーの?」

「っあ!!忘れてたわー。」


そう言って良介は慌てて教室を出て行った。

良介の席に太郎さんが座る。


「あ、そういえばさ。
 私、太郎さんが女の子と歩いてるの見たよ。
 珍しいね。」

「?いつ?」

「えーと、一昨日?自販機のとこで。」

「あぁ、あれ姉貴。」

「お姉さんいるの?」

「そ。」

「すっごく美人だったね。」

「そーか?」


「蒼子ーちょっと良い?」


太郎さんと話していると、前から赭莉が振り返ってきた。

私と赭莉はいつからか、気付けばお互い呼び捨てになっていた。


「あ、相澤君、ごめん。」


赭莉が申し訳なさそうにする。


「いや良いよ。」


そう言って彼は席を立って教室の中心にいる男子のグループにまざった。


「で?どうしたの?」

「さっきの数学なんだけどさ、なんでこのグラフの頂点が第一象現にあるってわかるの?」

「これはね…。」


赭莉は努力型で勉強が得意。

文系科目は全部クラストップだった。

数学は平均点ジャストだったけど。


「で、この頂点のy座標もさらに平方完成して、さっきの範囲あてはめたら正になるから第一象現なの。」

「なるほど~ありがと。
 蒼子って数学の教え方かなり上手いよね。」

「そうかな?」


まぁこんな感じで、私はかなり平和に毎日過ごしていた。


…というのも、幹也に言われて以来、一度も透の電話に出ていないからだと思う。

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