第2章 2人の最悪な男
『謝りたかったんだ…それだけ。本当に、ごめん。』
「……っ!」
ずっと聞きたかった声なのに、ずっと聞きたくなかった言葉を告げられる。
なんでよ、そっちが謝ったら、私、許すしかないじゃない。ずるい、ずるい。
「…っ透はいつもそう!言ってることは悪くないのに、ずるいことばっかり!ずるい、ずるいずるい!簡単に謝らないでよ!!」
つい涙が溢れてしまった。
あぁ、どうしよう。後に引けない。
『蒼…ずるくてごめん…でも、僕はそれほど、君を諦めきれない。蒼、会いたい。』
「……っ!私はっ、会いたくない!」
意地でそう言い張るけど、違う。
本当はこの最低男が好きで好きでしょうがない。
高校が違っても、浮気されても、肩書きだけでも良いから彼女でいたい。
でも、私の理性がそれで本当に良いの?って、歯止めをかける。
だから、理性が残っているうちに、電話を切らなきゃ。
なのに、彼はとどめをさす。
『蒼…こんな俺だけど、好きだよ。』
「…そ、んな…こと…。」
『蒼…会いたい。』
「…透……。」
『蒼、好きだよ。』
「透…私───」
も、って言おうとした途端、スマホが手から奪われた。