第2章 2人の最悪な男
帰りのSH。
赭莉ちゃん、大丈夫かな…って思ってたけど、ふと森崎幹也を思い出して人の心配してる場合じゃないと思った。
私放課後呼び出されてるの、完全に忘れてた…。
ため息をつくと同時に、先生の話が終わり、SHは終わった。
琴高の校門で、1人待つ。
でも特に暇つぶしするものもないので、なんとなく空を見上げていた。
すると突然、誰かの腕により視界が暗くなった。
慌ててその人の腕を放し、顔を見て「やっぱり」と思った。
「ボーッとしてんなよ。」
森崎幹也が、笑いながら言った。
「待たせてごめんな。」
不意に謝られて、なんて答えたら良いかわからなくて黙って首を横に振った。
多分こうやって細やかな気遣いができるから、結構モテるんだろうなーとか呑気に思った。
「じゃ、行くか。」
「え?どこに?」
彼は何も言わずスタスタと歩き出した。私は慌ててその後を追った。
しばらく歩いて着いた先は普通の家だった。
「…ここは?」
「俺んち。」
「は…?」
いきなり家!?
「親いねーから大丈夫。」
「いない?」
「2人とも赴任中。」
そんなことあるのかって思うけど普通に家に入っていくから少し躊躇ってついていった。
まぁ…ラブホとか連れて行かれても困るところだったけど。
玄関から入るかと思ったら裏口へ回った。
そこまでついていっても良いのかわからなくて立ち止まると「来い。」って言うからついていった。
「ただいまー。」
誰もいないはずなのにただいまと言うのが意外で驚いていると、とてつもなく大きい犬が出てきた。
真っ黒で大人しいけど森崎幹也に尻尾を振っている。
「犬平気?」
「うん…。」
「こいつ、クロ。可愛がったげて。」
「う、うん。」
その流れで自然と家にあがってしまった。