第2章 start
「おはよーっ!」
「夜空ちゃん……おはよう」
背中まである茶髪を揺らしながらこちらに向かって駆けてきたのは、木宮夜空。
彼女はこの学校でできた、初めての友達だったりする。
"夜空"という名前なのに、茶色い目と髪が特徴の可愛い女の子。
まあクラスの大半の生徒が彼女に好意をもっているだろう。
(小2のくせに……ませてるよなぁ)
男子は夜空が近づいただけで顔を赤らめて逃げていく。
そのせいで夜空は自分が嫌われていると勘違いしている訳だ。本当はその真逆なのに……報われないな、あの男子達。
「今日の体育はドッジボールだから楽しみだねっ」
「夜空ちゃんはドッジボール好きだからね……(私は体動かすの苦手……)」
「うん!アキちゃんは私が守るから大丈夫だよ!」
ニパッと太陽のように眩しい笑顔で笑いかけてくる夜空。
その笑顔をたまたま目撃したクラスの男子がバタリと倒れた音が聞こえた。
「篠崎君!?大丈夫!?」
慌ててクラスメートである篠崎君とやらに駆け寄る夜空。倒れた原因は夜空なんだけどね。
(……平和だなぁ)
ずっと平和だといいんだけど……。