第6章 【R18】付き合ってみた×銀八
『タバコ臭い』
ついでに親父臭い。
右手に持ったシャーペンで紫煙燻らす銀八を指す。
すると彼は咥え煙草のまま一つ前の席に腰を下ろした。椅子を跨ぐようにして私と向き合っている。
「お前プリント一枚追加な。俺をおっさん扱いした罰」
『え……うそ、嘘です、ごめ』
「問答無用」
追加されたプリントと銀八を交互に睨み付けた。
ぶつかり合う視線。
やけに近い距離。
机ひとつ挟んだ所に居る銀八は煙に目を細めて私の額を小突く。
「早く終わらせろバーカ」
花火大会、行くんだろ?
そう付け加えて銀八はふわりと笑った。
『……頑張る』
銀八の指が触れたおでこ。
そこを中心としてジワリとした熱が広がっていく。
私は赤くなった頬を悟られまいと咄嗟に顔を伏せてプリントに目を落とすのであった。
『全部解き終わったらご褒美頂戴』
「飴玉でいい?」
『……いらない』
「苺みるく味なのに?」
『私チュッパ○ャップス派だから』
「ああ、そう」
問題に目を通しつつ交わす会話はすぐに途切れてしまう。
シンと静まり返る夏の校舎。
窓の外からは野球部が練習する声が聞こえてくる。
二人きりの教室はやけに広く感じて。
全然頭に入らないプリントからチラリと視線を上げれば、真剣な顔でこちらを見据える銀八が居た。